鮭川村の魅力を”カワイイ”イラストを通して発信したい!|稲葉星蘭さん(鮭川村地域おこし協力隊)

稲葉星蘭(せいら)さんは、友人の誘いがきっかけで鮭川村を訪れ、村の魅力に惹かれて関東から移住しました。2023年1月から地域おこし協力隊として活動し、得意のイラストを通じて鮭川村の魅力発信に取り組んでいる稲葉さんの村への思いや今後の展望についてお話しをうかがいました。

稲葉星蘭さん

鮭川村に移住されたきっかけを教えてください。

私の友達に日本中を車で旅するような子がいて、その子に付いていくかたちで鮭川村を訪問しました。

その後、その子が地域おこし協力隊員として鮭川村に移住したので数日間村に滞在したことをきっかけに、役場の方にもお願いをして、長期間村に滞在させていただきました。

その時に鮭川村に居た協力隊の方々と関わる機会もいっぱいありました。
川で魚釣りをして、山菜をとって、などの自然が身近にある生活についてお話しを聞いて、いいなと思って。自然と生きている感覚や、自然とともにある暮らしをもっと知りたいと思いました。

そもそも、田舎での暮らしへの憧れがあったんです。 大学卒業までは実家のある神奈川県に住んでいて、田舎に関わる機会が少なかったです。ある意味「最初の田舎」が鮏川村でした。

鮭川村エコパーク内の「ビオトープ・カフェ きのこの森」でお話しを伺いました

自然の中で暮らす、鮭川村での生活の仕方に興味を持ったんですね。

はい。
ホームステイしていた期間には、当時の先輩協力隊に村を案内してもらっていろんな人に会いに行けたのですが、どこに行ってもすごいおもてなしを受けて、いい人たちに出会えて、鮭川村って面白いなと思いました。

(鮭川村でホームステイをするうちに、どんどん村の魅力にハマっていったんですね。鮏川村へのホームステイ期間はどれくらいあったんですか。)

合計11か月間くらいです。関東にある美術系の大学を卒業してすぐの頃から、複数回に分けて滞在しました。1回の滞在で3ヶ月近く居たこともありました。

最初は鮏川村に移住しようとかは考えていなかったんです。

「協力隊とかいいんじゃないか」って話しが村役場の方からポッと出て、この11ヶ月の期間に鮏川村と実家がある神奈川県を行ったり来たりするうちに、協力隊もいいなぁと思い、最終的に移住を決めました。

鮭川村には、アーティスト活動をされている方も居たので、自分のモデルケース的な方の存在もあって、協力隊をやってみようと思えました。

あと、鮭川村に来るきっかけにもなった友達に連れられて何ヶ所か地方に行ったのですが、魅力を感じる要素のひとつは人でした。鮭川村でも大きな魅力のひとつはやっぱり人です。

鮭川歌舞伎保存会という組織があり、年に一度の公演が6月にあるんですけど、その前に練習期間があって。仕事終わりに、みんなで集まって練習して、最後に絶対飲み会があるみたいな。深夜までワイワイとお酒を飲む姿と練習の時の真剣さのギャップが面白いんです!

そもそも歌舞伎って舞台で見るだけのものと思っていました。協力隊員が村に入ると、絶対にそこに入って一緒にやるんです。村で昔から伝わるものやこれに携わる人たちとの関わりが面白いですし、「気軽に入れるんだ!」って驚きました。私もお手伝いさせてもらったりして、村のいろいろな文化にも触れることができました。

(自然の近さや鮭川村の暮らし、村に暮らす人たちに魅力を感じて協力隊に応募されたんですね)

続いて現在の協力隊としての活動についてうかがいます。協力隊としてのミッションはなんですか?

フリーミッションです。

2023年の1月から協力隊としての活動がスタートして、今、3年目に入りました。
自分の創作活動とかイラストで村の魅力を発信することを主軸に活動しています。

(最初、フリーミッションでどうぞって言われたら、「何をしたらいいんだ?」って迷ってしまいそうですね)

いえ、私にはイラストがありました。

これで行くぞっていう軸があったので、特に困りませんでした。
役場前に設置された村の観光案内の看板や、役場主催のイベントのチラシを書いたりもしています。

役場以外の村の住民の方々からも、何かつくって欲しいなどの依頼を頂くこともあります。移住前の関係性の下地があったから、「絵が描けるんだ。じゃあこれを頼もうかな。」と気楽に声をかけてくれているんだと思います。
移住する前から、遊びに来ている時に何か描いて欲しいと言われたりもしていて、これなら協力隊として入れるかなと思ったというのもあります。

協力隊って、最初の1年間は活動の軸を探す準備期間になってしまって実質2年しかないみたいな話を聞くんですけど、私は移住前から関わりを持っていてイラストという軸も固めていたので、1年目から強みを持って活動できていたかなと思います。

(理想的な協力隊活動の始め方ですね。現在は、イラスト以外のお仕事もされているんですか?)

村づくり推進課に配属されていて、イベントの準備とか、役場の事業の企画やお手伝いもしています。

鮭川村役場の入り口に設置された観光案内看板の前で

役場の人、職場の人とのコミュニケーションは頻繁にとっているんですか?

月2回ほど、課内で情報共有の会議をしていて、そこで職場の方とのコミュニケーションもとれています。課内に自分のデスクもあるので、いつでも相談に行ける環境が整っています。

鮭川村は協力隊活動の自由度が高いと思います。絶対に出勤しなければいけないといった決まりはありません。私は家で作業をしたり、同じ村のアーティストの方と一緒に作業をすることもあります。

個人事業主として役場と委託契約を結んでいる形なので、自由度が高いのだと思います。

(コミュニケーションが取りやすい職場環境は大切ですね。逆に仕事への悩みなどはありますか?)

職場の皆さんからお仕事をたくさんいただくのですが、細かいお仕事が積み重なっている感じです。

今だと、商品開発でお土産のクッキーをつくるという話があって、 パッケージデザインを依頼されたのですが、それ以上に私は1つのプロジェクトとしてちゃんとやりたいなと思っていました。けれど、さらに別のデザインの案件もあって、フルコミットは叶いませんでした。

こういった感じで、1つのプロジェクトに集中して取り組むということはまだ実現していません。
商品開発なども、もっと深く関わることができれば、例えばお土産のクッキーに同封する冊子の文言の言い回しなど、デザイン面をはじめとしてもっと工夫できる部分があると思うのでいつかチャレンジしたいですね。

(いろんな仕事を頼んでもらえるのは稲葉さんの特技があってだと思いますが、その分苦悩もあるのですね。そう言った悩みを吐き出せる場所はありますか?)

村のアーティスト仲間が集まって創作活動する場があるのですが、そこに参加しています。

同じ村のなかでいろんなアーティストとコラボができたり、アイデアを出し合える環境であることはとても強いなと思っています。

村のアーティストが集まっているLINEグループがあって、「ちょっと作業するんですけど一緒にどうですか?」と声をかけ合うことも多いです。
あと、今、日本画の会が月2回ぐらいあり、その時にみんなでおしゃべりをしたりとか。こういった場所が癒しになっています。

日本画の会で酒田市に遠征した際にメンバー達と

イラストを頼んでくれた方からありがとうと感謝されたり、実際にイラストが使われてるところを見たら嬉しくなることも、仕事のやりがいにつながります。

役場の前の看板づくりも、簡単にできる経験ではないので。

(イラストやデザインなどにプロとして取り組む仲間と支え合える環境は素敵ですね。ご自身のインスタグラムにもイラストをたくさんあげていますが、イラストへのこだわりがあれば教えてください)

カワイイものが好きです。

あとは、描き込みすぎずに線を書く。柔らかい感じの雰囲気で。
シンプルなイラストが小さい時から好きですね。

(最近取り組んでいらっしゃる「SHAKE KAWAII(シャケカワイイ)」について教えてください)

私は現在、「LIVE DESIGN School」という、広く地域のデザインについて日本各地のローカルデザイナーたちと学び合う講座を受けていて、このスクールの一環で新潟に実習に行った時に、自分がやりたいと思っていたことを形にして実行している人に出会いました。

その時に、「私もやりたい、できる!」と思い、「SHAKE KAWAII」を始めました。村外で得られた刺激や知識をうまく活かせたらと。

イオンモール三川店の一角で、「ハチヨコエキスポ出張店」という、普段は古着屋をやっている方がいろんなアーティストを呼んで展示販売をしている場所があって。そこをお借りして展示販売させていただいたこともあります。

他の場所にも村内外問わず届けたいですし、「SHAKE KAWAII」は村外の方に鮭川の魅力を発信するためにあるブランドだと思っています。

鮭川村へのトキメキを発信していきたいです!

トキメキというワードが出ましたが、セイラさんから見た鮭川村の魅力はどんなところですか?

やっぱり、鮭川村で活躍する人たちの魅力です。アツい人が多いですね!

あと、「鮭」とか、「小杉の大杉」とか、鮭川村で受け継がれてきているものは、この村ならではの魅力なので。そういった光っている部分をカワイイに落とし込みたいです。

やっぱり移住すると、村の中の人というか、身内になれる感覚はありますね。なので、村の仲間として何かできないかな、と考え始めています。

繋がりたいジャンルの人については、役場の人に聞けば教えてくれますし、最上地域の協力隊同士の繋がりもあるので、いろんな人とつながりやすい。
あとやっぱり、村の職場は全体的にフレンドリーでいろんな人に相談しやすいです。協力隊の受け入れ態勢ができていると思います。

鮭川村が好きだ、という気持ちのアツさを感じました。3年目はどのように活動したいですか。

協力隊の卒業後に向けて、自分の「イラストで食べていきたい」という気持ちがあるので、自分の事業として依頼を頼まれるような仕組みとか、お金が入る仕組みを考えていきたいです。
自分のやりたいことの軸に付随して、お金を生み出せる仕組みを作れたらと思っています。

あとは住む場所の確保も。今の家に住み続けたいので、借り続けられるかどうか交渉したいと思っています。

やっぱり、イラストなどについて一緒に活動できる仲間がいるので鮭川村には住み続けたいです。

ゲストハウスなどハードル低く住める物件があって、自分が運営できたらとも思ったのですが、まずは経済的に自分が自立することを優先したいと思っています。

今後はさらに、同じ村に住むアーティストともどんどんコラボをしていきたいですね。

普段も鮭川村で遊んでるみたいな感覚です。
「鮭」とか「小杉の大杉」がその場所にあるだけではなくて、それをいかにデザインに落とし込むか、どう可愛くするか。

鮭川の魅力発信の入り口としても、ビジュアルの力は強いと思うので、イラストで表していきたいです!


編集後記

インタビューを通して、移住前から鮭川村に通い、村民の皆さんとの関係性を築いてきた稲葉さんの移住の仕方は、とても理想的だと感じました。11ヶ月に及ぶホームステイ期間中に、村の方々との交流を深め、自然豊かな暮らしを体験したことで、スムーズに村での生活をスタートできたのだと思います。

イラストを通じて村の魅力を発信したいという明確な軸があったからこそ、職場の方々や村民の皆さんも、稲葉さんへのお仕事の依頼を積極的にされているのだと感じました。

イラストというご自身の得意な表現方法で、愛着のある鮭川村の魅力を発信できている稲葉さんはとてもキラキラしていました!
「SHAKE KAWAII」というブランドを通じて、鮭川村へのトキメキを村内外に届けたいという想いは、稲葉さんならではのステキな取り組みだと思います。

ぜひ稲葉さんが手掛けた役場前の案内マップをご覧になり、鮭川村を巡って楽しんでみてはいかがでしょうか。



稲葉 星蘭(せいら)さん

神奈川県平塚市出身。美術大学卒業後、2023年1月に鮭川村の地域おこし協力隊に着任。村の⾏事のポスターやチラシ、村の特産物のキャラクター、商品のパッケージをデザインしているほか、鮭川村で日々起こっていること、村の伝統⽂化、⾏事に実際に参加し、体験した様子をSNSで発信している。


取材日:2025年1月23日
取材場所:ビオトープ・カフェきのこの森
聞き手:川村佳恵
写真撮影:梶村勢至
写真提供:稲葉星蘭

鮭川村エコパーク(GoogleMap)

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この記事を書いた人

金山町地域おこし協力隊の川村です!
岩手県盛岡市出身で、2024年4月に金山町に移住しました。地域おこし協力隊として、関係人口の創出に関わる事業をしており、「かぷりば」という屋号で本屋さんもしています。
金山の美しい街並みに癒されながら、読書や季節の美味しい食材を料理すること、冬はスキーを楽しんでいます。

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